就職活動と摂食障害
今日は、当時病気真っ只中だった私の就職活動について書きます。
持病を抱えながら社会で頑張るのなんて何も特別なことではないし、「摂食障害だけが特別で、かわいそう…」と言うつもりはまったくありません。
ただ、私の経験が同じ病気で苦しんでいるどなたかの役に立てばと…そんな考えすらおこがましいのですが、書いてみたいと思います。
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12歳の時から実に19年もの間、摂食障害を経験した私。
人生のあらゆる場面で、「摂食障害であること」は私の足を引っ張り続けました。
中でもその不自由さが顕著に現れたのが、就職活動。
新卒として就活する21歳の頃といえば、「痩せたい! 」気持ちの全盛期であると同時に、「自分自身とは一体何者で、これからどこに向かっていくのか」も分からず、不安に押しつぶされそうな時期。
もちろん私は精神科医ではないので、他の精神病のことは分からないけれど…摂食障害については相当の期間、調べ、学び、考え、何より身をもって体験してきたと思っています。
「明日が来るのが怖い」どころか「数分後、まだ自分が生きている可能性さえも抹消したい」と考えてしまうほどの辛さも。
その反面、摂食障害がもたらす何者にも代え難い快楽や、ほんの一瞬訪れるハイテンションな時間も。
全部全部ぜ〜んぶ、ついこの間のことのように思い出すことができます。
就活は、病気でなくてもみ〜んな辛い
大学4年生の皆さん!
既卒の方も、転職希望の方も!
就職活動、本当にお疲れ様です。
最近の就活スケジュールはよく分かりませんが……すでに内定を獲得した方もいらっしゃるんでしょうか…?
周りに内定者が増えるにつれ、まだ内定をもらえていない人の焦りはさらに募るものだと思います。
就活。
そりゃ~もう大変ですよね。
「ご縁がありませんでした」のお知らせが届いた時の、あの挫折感。
私も、数十通の残念なお知らせをいただきました。
なんかアレ、受験に失敗するのとはまた違いますよね。
受験は、「テストでの獲得点数」という、一定の評価基準が公にされています。
試験に落ちた理由は、点数が合格ラインに届かなかったから。
それだけはハッキリしている(推薦・AO等は除く)。
でも、就活は何が評価されるかが分からないから。
めちゃめちゃ頑張っていても、企業側にとってはそれが的外れな方向だったりすることもあるわけです。
しかも、「結局何が良くて何がダメだったのか」一切明かされないまま結果だけが届く…
あぁっ! 辛い!!!!
頑張るのも辛いけど、頑張りの方向性すら分からないのはもっと辛い…!!!!
街中で見かけるサラリーマンのおじさんたちが、全員とんでもないエリート集団に見えました。
そもそも入社できた時点でスゴすぎない!? と。
摂食さんの就職活動
そんな、ただでさえ辛い就活。
摂食障害とのバランスを上手く取りながらこなすのは、至難の技ですよね。
何を隠そう私だって、ファストフード店をはしごして食べ、食べ、食べに食べた直後、スカートのファスナーを全開にして面接に行ったことが何度もありました(私の症状は、主に拒食期と非嘔吐過食期の繰り返しでした)。
極め付きは、就活中あまりに太りすぎて、地下鉄の階段を上るときスカートのお尻部分の縫い目がバリッと裂けたという伝説(笑)
帰りの新幹線で駅弁5つ平らげて、隣の席の若い男性にガン見された時は、泣きたくなりましたね。
泣くくらいなら食べるのをやめたらいいのに。
どうして食べてしまうのだろう。
もともとプライドが高く自己評価は低いのに、毎日毎日
「あなたはウチには必要ありませんっ(➡︎「私は社会に必要ない存在なのだろうか? 」という考えに飛躍する)」
と言われ続けて……
過食はどんどんひどくなりました。
片や、内定もらって楽しそうに卒業旅行の計画を立てる同級生。
片や、大都会東京のど真ん中で、テリヤキバーガー貪りながら残念なお知らせを受け取り続ける自分。
この極端すぎて逆に気持ちいいほどの落差と言ったらもう。
面接ではものすごい奇をてらった質問されるし、上手く答えられないと鼻で笑われるし、はたまた別の会社では理不尽な圧迫まで受けて…
もぅ~~~~がっって感じでした。
がっっっっ!!!!
就活生を見ると思い出す
社会に出てからも、慣れないスーツを着た若い人達を見かけると切なくなります。
勤務先で会社説明会が行われた日、会社のロビーで私の姿を見ると、ハキハキと挨拶してくれた就活生たち。
ただの下っ端社員の私にもあんなに感じ良くしてくれて、本当に一生懸命で。
社内にいる人間が全員面接官の手先みたいに見えて、いい印象を残さなくてはと、最初から最後までピンッピンに気を張っていた自分を思い出しました(そんな他意はなく、ただ純粋に挨拶をしてくれた、とってもいい子たちばっかりだったらごめんなさい)。
摂食障害を抱えながら就職活動をしている方へ
なんだか、摂食さんの就活から一般的な就活へと話が逸れてしまいました。
なんか、どうしよう。
書き始めたはいいけど、本当に、摂食を抱えながらの就活は色々あり過ぎて……渦中にいらっしゃる方に、なんと声をかけたらいいのかまったく分かりません。
ただ…
面接失敗しても、
全然内定が出なくても、
過食止まらなくても、
太りすぎても、
痩せすぎても……
「決して、その結果を自分だけのせいにして追い詰めないでほしい」ということ。
失敗続きで苦戦しまくった私には、就活自体のアドバイスなんか到底出来るわけもなく……本当に申し訳ないのですが。
就活ストレスに引っ張られて顔を出してしまう摂食障害の症状ついては、本当にめちゃめちゃ苦しいんですが、今だけちょっと、ほんのちょっとだけ、目をつぶるのもアリかなぁと、私は思います。
自分を責めて今すぐ治るのなら、思う存分責めたらいいと思いますが…
余計苦しくなってさらに症状がひどくなったりとか…してしまいませんか?
「我慢したら治る」?「根性で治る」?
無理ですよね?
私は当時、いったん過食が始まってしまうと、自分の意思では止めることができませんでした。
大好きだった祖母が亡くなった知らせを受けた時でさえ。
ついに自分は人間らしい心すら失ってしまったのかと絶望しました。
でも違う。
それは病気です。
現に寛解状態にある今、私にも思いやりの心が、人並みには戻ってきてくれましたから。
けれど、それほどの強い症状。
今、あなたがあなたを咎めたところで簡単に治るわけがないんです。
病気を見て見ぬ振りするのなんて本当は良くないことですし、現在入院中の方や命に関わるような症状の方は別ですよ。
あと、今すぐ就活をやめて治療に専念できる環境があるなら、そうするのが一番です。
でも多くの場合、そういうわけにはいきませんよね。
今はとにかく就職先を確保しなくてはならないはず。
ですから、なんとかかんとか就活ができている状況なのであれば、今だけは「食べてしまうこと」「食べられないこと」「数字に固執してしまう自分」を深く捉えすぎず、受け流し、症状を逆に利用してこの期間だけでも乗り切ってしまう。
そんな選択肢もありますよ、ということです。
私はそうやって就活と向き合いました。
もちろん治したい気持ちは忘れずにいて欲しいけれど…就活が終わった後、いくらでも病気と向き合うことはできますから。
普通にしていても自分で自分の評価を下げてしまいがちな就活です。
あなたが過食・拒食を責めることで、あなた自身にさらなる追い打ちをかけることのないよう、心の底から願っています。